工場と仕事

「期間工はきつすぎる」未経験者に伝えたい真実

期間工はきつ過ぎるというのは聞くけど、どの程度きついのか、未経験者にとっては分かりませんよね。

期間工マジできついよ

期間工はきつすぎるから辞めとけ、という言葉はいろんなところで聞きますよね。未経験で今から期間工になろうとする人はこの言葉に右往左往させられます。

さて、期間工がキツイと言われる理由はなんでしょうか。

作業がキツイにも色々ある

人の感じ方はそれぞれです。キツイという人もいれば楽勝だという人もいます。期間工がキツイと感じるのも、実際のところ全員が共通意見ではありません。

CASE.1 ライン作業は人間のやる仕事じゃない

ライン作業が苦痛
よくあるケースとして、ライン作業がきつすぎる、と感じる人を紹介します。

ライン作業というのは、コンベア生産方式と言われます。言うまでもなく、ライン作業者は、同じ作業をずっと繰り返します。人によっては2年11ヶ月ずっと同じ作業をさせられます。

2年11ヶ月もの間、ネジを締め続けるだけの作業をあなたは辛いと思いますか?

Aさん「ネジを締めるだけで年間450万円!ラッキー」
Bさん「黙々と何も考えないで作業するのが好きな自分にぴったり!」
Cさん「毎日ネジ締めを繰り返すなんて人間のする仕事じゃない!」

どれが正しい、というわけでは無いんです。相性や性格の問題、割り切れるか、好き嫌いかの問題です。
ストレスのたまる人ほどネットで発散しますから、Cさんが「期間工まじきつすぎるわ」というのをあなたが見かけたのかもしれません。

CASE.2 作業に慣れず筋肉痛がひどい

期間工の筋肉痛
よくあるケース2つ目は、作業がきつくて筋肉痛が長引くケースです。

期間工は肉体労働です。肉体を使うからこそ高収入という面もありますが、肉体を使うからこそ疲れも溜まりやすく、慣れるまでが大変です。

スポーツにしても同じですが、初日は元気です。問題は2日目からの筋肉痛です。これは必要な筋肉量が身につくまで続きますから、早ければ1週間、長ければ1ヶ月ほどは筋肉痛に悩まされます。これは誰しもがそうです。

期間工の作業は、工程によって使う筋肉が違います。A工程で10年作業していても、B工程に入れば筋肉痛はやってきます。

まずこの筋肉痛の期間を超えられない人が少数ながらいます

Aさん「筋肉痛がひどいけど慣れるまで辛抱しよう」
Bさん「筋肉痛がひどい!しんどい!辞めたい!」

寮に帰っても仲間も友達もいません。作業にも慣れず相談する人もいません。そうした環境に耐えきれず去っていく人が、「期間工まじきついわ」とネットに書いたかもしれません。

※まとめにも書きますが、筋肉痛になることは避けられないと思ってください。それくらいにはキツイです。

CASE.3 体に職業病が出てきつい(バネ指・腰痛など)

期間工の上むき作業
工程によっては真上を向いて作業することも出てきます。首を痛めそうですね。

腰に負担がかかる、足に負担がかかる、指に負担がかかる。

箇所は違えど肉体労働である以上、どこかに負担はかかります。そんな状況が続けば、職業病に近い症状が出てくることも珍しくはありません。

例えば有名な「バネ指」です。指の筋(靭帯・じんたい)の炎症による曲げ伸ばしの障害のことです。曲げたくても曲がらない、あるいは伸ばしたくても伸びないということが起こります。

腱鞘炎の一種で、いわゆる使い過ぎによって発症します。これが初めて自分の身に起こるとなかなかストレスが大きく、そこから心理的にも崩れることがあります。指が曲がらないのは間違いないし、酷くなったらどうしよう、戻らなかったらどうしよう、と考えてしまいます。
期間工のバネ指、腱鞘炎
炎症なので、発症した初期段階で炎症を止めるようにテーピングやマッサージをしたり、力の入れ具合を調整したりすれば改善に向かうのですが、そうした調整が苦手な人は悪化する一方です。

また別の作業では例えば腰痛になったり、指の節が硬くなるということが起きます。

多かれ少なかれ、こうした工程による職業病に対するストレスの違いが「期間工がキツイ」という問題に直結します。症状が出た時に、なかなか相談できなかったり、相談しても親身になってくれなかったり、といったことが続くと、「期間工キツイ、やめとけ」となります。

先輩社員などもバネ指経験者は多いので、初期の段階でどうすべきか相談することが大事です。自分一人で抱え込まないで周囲に頼りましょう。

CASE.4 寮生活がキツい

寮の騒音
寮はお世辞にも良い環境とは言えません。一部「当たり」と言われるような最近の建物もありますが、それでも共同生活ならではの悩みはあります。

古い寮だと隣人の生活音は避けられません。ベニヤ板ほどは言い過ぎですが、聞き取れない程度の話し声、物を置く音、目覚まし時計の音は聞こえてくるでしょう。こちらが静かな時は、隣のビニール袋の音も聞こえる程度の壁です。薄くは無いが厚くもありません。

隣人が気を遣ってくれる人なら我慢できる程度ですが、夜遅くまで電話したり、足音が大きな人やドアの開け閉めが酷い場合にはすぐ帰りたい衝動にかられます。

大浴場はマナーが良いとは言えない人も少なくありませんし、食堂のメニューは美味しい方が珍しいかもしれません。

リラックスするはずの住環境が乱れるというのは、かなりの苦痛になるかもしれません。

Aさん「私は全然気にしない。気にならない。」
Bさん「気にはなるけど、耐えられないほどではない。」
Cさん「もう無理、この生活きつ過ぎる!」

CASE.5 人間関係がキツすぎる

十人十色、とは言いますが、やはり多くに好かれる人もいれば、嫌われる人もいるのが現実です。

工場の社員というのは多かれ少なかれ、仕事ができる人を好みます。真面目な人を好みますし、和を大切にする人を好みます。が、期間工はどちらかといえばその逆を行く人も少なくありません。

仕事が頑張れない、勤務態度が悪い、会話に入ろうとしない。それでも作業ができれば問題ないのですがミスは出すし悪びれないとなると、厄介払いされるのは世の常です。

自分に非があると考えない人が「期間工最悪やめとけ」と言っているかもしれません。

現場はきつい、でも逃げるほどではない

現場の作業は楽ではありません。そこは肉体労働です。多かれ少なかれ負担はあります。タクトタイムが早い(急いで生産しないといけない)時などは、息があがることも実際にあります。

ただ、同じ作業は他の誰かもやれているものですし、同じ作業をこれまで何十人とやれてきたというのも事実です。社員が応援でそこに配属されることもありますが、社員は逃げたりできませんからね。

期間従業員の紹介をするサイトでは、「未経験者歓迎!」「楽な仕事です!」「誰でもできます!」という謳い文句と高収入で誘っていますが、以下の点を自分に問いかけてみてください。

1ヶ月ほど筋肉痛になっても平気ですか?

寮の隣人がうるさくても大丈夫ですか?

困った時は誰かに相談できますか?

年下から指導を受けても聞けますか?

バネ指や腰痛になるかもしれませんよ?

同じ作業をし続けることに耐えられますか?

もしこれでも「覚悟ができている」という場合は乗り切れるでしょう。そのくらいの覚悟ができるなら、実際に配属されれば拍子抜けかもしれません。

未経験者は特に分からないことだらけですが、「キツすぎる」というコメントを目にした時、それが一体どういう理由でキツすぎるのか、よく確認してください。

配属される工場も工程もバラバラで、人それぞれ感じ方が違いますから、ネットで見た「キツすぎる」が全員に当てはまることはありません。

期間工に応募する時には紹介会社を通じて応募することが多いと思いますが、その会社の方は赴任した期間工のフォローもするので、実際にどういう点が辛いという話を聞くか、応募した時に聞いてみるのも一つの安心材料になると思います。

ネット上での言葉に必要以上に警戒することなく、必要な選択ができるように気をつけてください。