期間従業員から正社員になるルートは2つあると言われます。
1つはそのグループ内で認められて推薦を受けるルート、もう1つが面接の場でのアピールが報われるルートです。
正社員登用の質問例の前にまずは、採用の前提についてお伝えしましょう。

こちらの記事の内容
会社の採用計画が一番上
会社には採用に関する年間の予算や採用計画人数などがあるので、どんなに優秀な人材だとしても、採用計画が0人だったら受かる事がありません。
会社の採用の門戸が開かれているときにこそチャンスが訪れます。
各部に採用枠が与えられる場合がある
各部から採用したい場合には優先的に採用できる枠が与えられる場合があります。これは部の推薦枠という形になりますが、採用計画とのバランスにもよるので絶対その枠があるわけではありません。
ただあくまでも本番に人事が評価する部分も影響するので、部推薦=必ず採用という事にはならない点に注意が必要です。
王道はグループ推薦ストレートルート
とはいえ日頃の働きが認められ、ぜひ一緒に働きたいと言われるルートは鉄板です。
職場推薦の中にもいくつかの水準があるのだと思われますが、期間工からスムーズに社員になるためにはまずはこのルートを目指す必要があります。
このルートは職場推薦がかなり影響するので、本番の質問に対する答えが多少凡庸なものであっても、他のメンバーよりも評価される事がありえます。
面接の場で魅力が認められるルート
もう一つのルートが面接の場で評価されるルートです。
人事部が採用したい人物像に当てはまると判断した場合、社員となれるルートです。このルートはSPI筆記試験の成績と面接での受け答えが大きく影響します。また年長者よりも若い人のほうが有利に働きます。
正社員登用の面接でよくある質問
それでは正社員登用の面接でよくある質問と、それに対する模範解答をお伝えします。それぞれの質問に対して何が聞かれているのか、どう答えればプラスになるのか、しっかりと把握するようにしましょう。
仕事で得た学びは何かありますか?
模範解答
仕事を通じて得た学びですが、全体が同じ方向を見て作業をすることの重要性を学びました。私が働いている部署では、チョコ停を減らして稼働率を上げようという運動を展開しています。
それまでは頑張っている人とそうでない人の差が大きく、なかなか稼働率が上がらなかったのですが、一度全員で話し合いの場を持とうと提案しました。職場の理想と現実の問題を洗い出し、一人一人が出来る事や自分なりの目標を設定しました。それぞれフォローしあうような仕組みを整えた事も功を奏して、結果的に稼働率が大幅に改善されました。
ライン作業では特に誰かひとりが頑張るだけでは問題が解決しません。全員が一枚岩となり問題に正面から向き合う事が、問題解決につながり、お客様の大切な1台を作る事につながるのだと学びました。
ポイント
アプローチは無限大にありますが、具体的な事例を出し、それに対して自分がどう動いたか、その結果どういう学びを得たか、という事を訴える事が望ましいパターンです。
これは他の会社の面接でも良くある質問で、「前の会社で学んだ事はありますか?」という回答が参考になります。
自分がその問題に対してどう仮説を持ち、どう行動し、何を学んだか、それを1本にまとめる事が重要なポイントです。
いまどんな仕事をしていますか?
模範解答
いまおこなっている仕事ですが、助手席を設置するための土台を車体に固定する仕事をしています。助手席は前後にスライドするために2本のレールが設置されていますが、これを取り付ける作業が私の仕事です。少しでも歪んでしまえば気持ちよく座席をスライドさせることが出来ないので、お客様満足につながる最も重要な工程だと思って仕事をしています。
ポイント
ここでは主に会話力が見られていると考えられます。知らない人に分かりやすく伝えようとしているかどうかという点です。社員になれば期間従業員へ教える側に回るわけでもあるので、こうした点が見られるのだと考えられます。
また、ここでのポイントとしてお客様への想いを盛り込むと、責任をもって仕事をしているとアピールすることが出来るので、自分の仕事がお客様の満足にどうつながっているのかをまとめてあげるとプラス査定につながるでしょう。ただ聞かれていない事は含まなくて良いと模擬練習で言われる場合には、そこは省いておきましょう。このあたりは企業文化によって異なります。
今の現場の課題はなんですか?
模擬回答
今の現場の課題は、ピッキングミスをどうやって下げるか、という事です。車種によってピッキングしなければならない部品や点数が異なりますが、これを間違えてしまうとライン停止に直結してしまうため、責任のある作業ですが、人が行う仕事であるためどうしてもミスが発生してしまっています。これは無くさなければならないので、課としては、ピッキングリストを車種ごとに色分けし、部品棚にもこの色を付けておく事でミスが無くせないか取り組んでいるところです。個人としては指差確認と部品名の読み上げを徹底することで自分がミスを出さないように注意しています。
ポイント
現場の課題をしっかり把握しているか、という事もそうですが、やはりしっかりと説明できるか、その重要性を理解しているか、という点が見られます。
また現場としての動き方と、自分自身がそれに対してどう考えているかを合わせてアピールすることがポイントになります。その時に、課としての動きと自分の動きが相反しないようにすることが重要です。
職場で頑張っている事はありますか?
模範解答
いま職場で頑張っているのは、自分の後ろの工程の方がもっと楽に作業できるようにならないか、という改善をすることです。自分の工程と後ろの工程は似たような作業をしているので、私は後ろの工程の作業の一部は自分の工程で、同じタクトタイムで出来るのではと考えています。
この提案には上司も賛同してくださり、ぜひ模索するようにとおっしゃっていただいているので、少なくともこの半年以内には形にしたいと思っています。
ポイント
基本的には大きな改善提案をしているかどうかがカギになります。自分ひとりの思いつきではなく、課が一丸となってそれを応援しているかどうか、また自分が改善に対して前向きかどうかをアピールすることがポイントになります。
面接で緊張しやすい人へのアドバイス
面接の場でよくあるパニックは、何を質問されたのか分からなくなる、という事です。
先ほどまでの質問と模範解答にあるように、しゃべり出しは質問を復唱することから始めると、忘れる可能性が少し減ります。
「志望動機は何ですか?→私の志望動機ですが、」
「趣味は何ですか?→私の趣味ですが、」
また、緊張しているからといって、目が泳いでしまっては、信頼性が落ちてしまいます。面接官が複数人いても、質問した面接官だけを見て回答しましょう。決して下を向いてはいけません。
質問を忘れてしまったら、聞き返そう!
また途中で質問の答えが分からなくなってしまうことがあります。ここで止まってしまうのは良くありません。大丈夫です。途中で止まってしまう人などいくらでもいるわけですから、どう打開するかを考えるしかありません。
そんな時は正直に聞けば良いのです。
「申し訳ありません。緊張してしまい質問を忘れてしまいました。もう一度お願いできないでしょうか。」
工場では特に「分からなければ聞く!」という事が言われますよね。面接でも同じです。ずっと黙ってしまうより100倍マシですから、思い切って聞いてみましょう。
これが聞ければ緊張もどこかへ吹き飛んでしまうでしょうし、だからといって評価に極端に影響することではありません。
社員希望なら最初が大事
社員希望を出すなら、最初が肝心です。つまり期間工入社前です。
なぜかというと、期間工になる際の履歴書が面接官の手元にある可能性が高いからです。もっと言えば、そこに出ている人柄があなたを決めているわけですから、文字がいい加減であったり、写真がちゃらちゃらしたものだと、いくら当日ビシッと決めていたとしても、その写真がマイナス評価になってしまいます。
社員登用を希望する場合は、期間従業員に応募する際の履歴書写真もビシッとスーツで決めておく事が余計な印象悪化を防ぐポイントになるのです。
社員登用試験の自信が無い方ほど、期間従業員応募の履歴書には十分に気を付けておきたいところです。